「来週の配車、お願いできますか?」
スマホに届いた一文を見て、すぐ返事ができずに画面を閉じる。車がないわけじゃない。予定が完全に埋まっているわけでもない。でも先週はお茶当番、その前は試合の付き添い。下の子の予定も、家の用事も気になる。
なのに、断る理由を考えている自分がいる。
少年野球で保護者がしんどいのは、車を出すことだけじゃありません。「できません」と言ったあとに流れる、まだ起きてもいない空気まで先に読んでしまう。あれが疲れる。
パパコーチ僕も息子たちの野球に関わり、パパコーチとして現場に入って数年になります。楽しいことは本当に多い。それでも「子どものため」という強い言葉があるぶん、親は弱音を吐きにくい。今回は、少年野球の保護者が「しんどい」「疲れた」「もうめんどくさい」と感じる理由を、きれいごとだけで片づけずに書きます。
少年野球の保護者がしんどいのは、野球より“大人の事情”だった
入団前に想像していたのは送迎と応援くらい。ところが土日の予定、LINE、配車、お茶当番、グラウンド整備、道具運び、審判、役員。野球のルールを覚える前に、大人のルールが次々に登場します。
もちろん、協力そのものが悪いわけではありません。誰かが準備しなければ試合はできない。ただ、必要な協力と、説明されないまま残っている慣習は別です。
「昔からこうだから」。この言葉、少年野球では便利すぎるんですよね。便利すぎて、たまに説明書の代わりになっています(笑)。
予定が埋まるより「断るたびに説明する」のが疲れる
仕事で行けない。下の子の行事がある。家族で出かけたい。たまには何もない日がほしい。どれも普通のことです。ところが協力が当然という空気が強いと、休むたびに「認めてもらえる理由」を探し始めます。
仕事なら仕方ない。でも家族旅行は? 下の子の習い事は? ただ休みたい日は? いつから休日の使い道に審査が入るようになったんでしょう(笑)。
少年野球で親が疲れる8つの場面
一番しんどいのは、子どもではなく大人の人間関係
正直、これが一番疲れます。勝った日は上機嫌なのに、負けると子どものミスや保護者の動きばかり気にするコーチ。話し合いになると急に語気が強くなり、「俺が正しい」で終わらせる。年齢ではなく、言動が幼いんですよね。
反対側には、「昔からこうだから」で話を閉じる人もいます。経験の長い年配者は本当に頼りになります。でも、古いやり方を守ることと、新しい家庭の事情を聞かないことは別です。その間で保護者は、コーチの機嫌と昔からの空気を同時に読むことになる。……野球より難しい守備位置かもしれません(笑)。

LINEを開くと、相談ではなく当選通知が届いている
「お願いできますか?」と書いてあるのに、すでに名前入りの表が届いている。これは相談なのか、当選発表なのか。調整する側が大変なのも分かりますが、頼む前に決めると協力は少しずつ義務へ変わります。
お茶当番の仕事が、名前から想像できない
水筒だけと思ったら、救急箱、氷、体調確認、道具、ゴミ、来客対応まで。もはやお茶は業務の一部。名前だけ、ずいぶんのんびりしています。

配車は車だけでなく、気も運ぶ
ほかの子を乗せる責任、集合時間、高速代、ガソリン代。配車は「席が空いている」で終わらない役目です。できない日に断るのは無責任ではありません。事故や疲労を考えれば、むしろ逆です。
「できる人がやる」が、いつも同じ人になる
草刈り、整備、荷物運び。最初は「行ける人だけ」だったはずなのに、気づけば毎回同じ顔ぶれ。そして限界まで来た人が来なくなると、「最近、協力してくれないね」と言われる。いや、最近まで協力しすぎていたんです。
自分の子の試合なのに、ほかの子を見続ける
下の子を連れてくることが悪いわけではありません。ただ「誰かが見てくれる」が続くと、いつも同じ保護者が試合を見られなくなります。
「ちょっと見てて」が一回なら助け合い。でも毎回なら仕組みを考えたほうがいい。善意を空気だけで回すと、優しい人から疲れていきます。
練習へ入ると、運動が苦手なことがモロに出る
ここは、保護者のパパさんにとって意外と重いところです。「子どもの練習を少し手伝うくらい」と思って入ると、遠投、ノック、バッティングで運動経験の差がはっきり出ます。しかも今の小学生、普通にうまい。軽い気持ちで勝負すると、普通に負けます。
キャッチボールでは球が届かない。ノックは狙った所へ飛ばない。バットを振れば空振りする。体力も想像以上に削られて、練習の途中で足が止まる。運動経験が浅い人には、なかなか辛い時間です。

そして悪気のない子どもほど正直です。うまくできない姿が続くと、「この人の話は聞かなくてもいい」と軽く見られることもある。運動能力と保護者としての価値はまったく別なのに、グラウンドでは分けてもらえない瞬間があります。パパのプライドには、これが地味に効きます。
大人なのに、小学生と目線が変わらないのが恥ずかしい
もう一つ、口には出しにくい負担があります。大人の男性としてグラウンドへ入ったのに、小学生の列へ並ぶと目線がほとんど同じ。自分より背の高い子までいる。周りは何とも思っていなくても、本人には「見比べられている」ように感じるんです。

だから整列や集合写真を避ける。子どもたちの前へ出る役を引き受けない。「手伝いたくない人」に見えても、その奥にあるのは怠けではなく、男性としての恥ずかしさかもしれません。身長が問題なのではなく、本人がそこを見られることに耐えにくい。その気持ちまで含めると、保護者のしんどさは少し違って見えてきます。
「みんな同じだけ」は公平に見えて、かなり雑です
全家庭が月1回ずつ当番。表だけ見れば公平です。でも土日勤務、乳幼児、介護、車の有無、ひとり親家庭。同じ一回でも重さは違います。
大切なのは全員が同じ作業をすることではなく、必要な仕事を見えるようにして、それぞれが続けられる形で分けることです。
- 配車は難しいが、出欠確認はできる
- 一日当番は無理だが、朝の準備ならできる
- 現地へ行けない日は、連絡表や会計を手伝う
パパコーチ少年野球がしんどいとき、親が最初にやること
「何がしんどいか」を一つに絞る
LINE、配車、拘束時間、特定の人との関係。「もう野球が嫌」でまとめず、一番重いものを一つ減らします。退団か我慢かの二択にするのは、そのあとでも遅くありません。
断るときは、長い言い訳を作らない
「その日は家庭の予定があり、配車はできません」で十分です。できるなら別日に可能なことを添える。できないなら無理に代案を作らない。家庭で決めてよいことまで、相手に審査してもらう必要はありません。
相談しても変わらないなら、場所を選び直していい
休むたびに責められ、家庭や仕事に支障が出ても「子どものため」で終わる。そこまで来たら頑張り方ではなく仕組みの問題です。当番のないチーム、活動日の少ないチーム、スクール型など、野球を続ける場所は一つではありません。
それでも、少年野球には大人まで笑う瞬間がある
朝から準備したグラウンドで、普段声を出さない子が「ナイス!」と言った。打てなかった子が小さなヒットを打った。負けて泣いた子の隣に、仲間が何も言わず座った。
そういう場面を見ると「来てよかったな」と思います。悔しいけど、思ってしまうんですよね(笑)。だから負担を減らす話は野球を否定する話ではありません。好きなものを嫌いになる前に、余計なしんどさを減らす話です。
まとめ|子どものために、親が黙って壊れる必要はない
予定が読めない。役割が見えない。負担が偏る。断ると空気が変わりそうで怖い。小さな緊張が毎週積み重なれば、誰だって疲れます。
必要な協力には感謝する。でも無理まで美談にしない。できることはやる。できない日は、できないと言う。誰かの善意に同じ仕事が偏っていたら、仕組みを見直す。
パパコーチ参考・関連記事
※当番、配車、保護者参加の頻度やルールは、地域・連盟・チーム・学年によって異なります。
