「ボールをよく見て」と言った直後、子どもはグローブで顔を隠す。返ってきた球は親の横を抜け、また拾いに走る。
分かります。捕り方も投げ方も、全部直したくなります。でも説明を増やすほどボールは止まり、子どもの集中だけ先に帰ってしまう。
いや、順番です。
「怖がらないで、よく見て」と何度言っても、最後に顔をそむけます。
パパコーチ見ていないのではなく、怖くて見られないのかもしれません。フォームより先に、球と距離をやさしくします。
子どもへのキャッチボールの教え方で最初に作るのは、きれいなフォームではなく「この球なら怖くない」です。
やわらかい球を近くで捕る。相手が捕れる所へ投げる。そこからゴロ、フライ、送球、カバーリングへ進みます。
結論|キャッチボールは「怖くない」から守備へつなげる
初心者の子どもには、次の順番で教えます。できない所が出たら、無理に先へ進まず一段前へ戻れば大丈夫です。
- やわらかい球で怖さを減らす
- 成功できる近さで捕る
- 相手の胸へ投げる
- 左右や前後へ一歩動く
- ゴロとフライを別々に練習する
- 捕球後の送球とカバーリングへつなげる

「何メートルできたか」より、相手が捕れる球を投げられたか。
そこを褒めます。
キャッチボールは遠投大会ではありません。
初心者の子ども向け|キャッチボール7段階練習
NPBの幼児向けボール遊び教材と全日本軟式野球連盟のBaseball5学校導入マニュアルも、自分で扱う、転がす、下から投げる、上から投げるという段階を踏んでいます。
1.ボールへ触る・左右の手へ持ち替える
最初は丸めた靴下やスポンジボールでも構いません。手から手へ移す、体の周りを回す、落として拾う。まずはボールが手元にある状態へ慣れます。
2.自分で上げる・弾ませて捕る
自分で小さく上げて両手で捕る。次は一度弾ませて捕る。自分で高さを決められるので、親が投げる球より怖さを下げやすい練習です。
3.親子でゆっくりゴロを転がす
1〜2歩ほどの近さから、正面へゆっくり転がします。グローブへきれいに収まらなくても、体の前で止められたら成功です。
4.下投げのやさしいトスを捕る
胸からお腹の高さへ、毎回なるべく同じ軌道で投げます。親のコントロール練習でもあります。子どもだけの宿題にしないのが大事です。
5.ワンバウンドを捕る
ノーバウンドが怖ければ、先にワンバウンドで構いません。ボールの軌道を見て手を出す経験を増やします。
6.握り方と一歩を覚える
相手を見て、投げる手と反対側の足を目標へ一歩。手が小さい子は2本指にこだわらず、3本指でも無理なく支えられる持ち方を選びます。
7.近距離のキャッチボールへ進む
下投げやワンバウンドで顔を背けず、本人が「もう少し離れたい」と思えたら短い上投げへ。距離、速さ、高さ、左右への移動は、一度に一つだけ難しくします。
子どもがボールを怖がる時は、根性ではなく条件を変える
ボールが怖い理由は一つではありません。球が硬い、顔へ来そう、一度当たって痛かった、グローブで視界が隠れる。怖いまま速い球を繰り返しても、捕球練習にはなりません。
試合球に慣れるなら、最初からJ号球で練習した方が早くないですか?
パパコーチ怖さを我慢させても、捕れるようにはなりません。やわらかい球で成功してから、硬さか距離のどちらか一つを上げます。

始める距離は年齢だけで決めません。
子どもが顔を背けず、両手を出せる場所がスタート地点です。距離を伸ばして暴投を拾う時間ばかり増えたら、それは親の往復走になっています(笑)。
キャッチボールで捕れない子は、グローブより先に足を見る
初心者はグローブを出して待つうちに、足が地面へ接着したように止まりがちです。胸の正面から少し外れただけで、手だけを伸ばしてはじきます。
グローブを出しているのに、なぜか毎回はじいてしまいます。
パパコーチ閉じ方より先に、届く場所へ一歩動けているか見ます。最初は親も同じ高さへ投げましょう。

- 胸〜お腹:親が毎回同じ高さへゆっくり投げる
- 低い球:膝を曲げ、グローブを体より前・低い位置へ出す
- 左右の球:手だけで追わず、足を一歩運ぶ
- 顔付近:無理に捕らせず、球と距離をやさしくする
グローブが大きすぎる、硬くて閉じない場合は、技術だけでなく用具も確認します。詳しくは少年野球のグローブが大きすぎる時の確認ポイントも参考にしてください。
投げられない子は、腕より目標と足から直す
「肘を上げて、足を向けて、腰を回して、最後まで振って」。一球で四つ言われたら、大人でも迷います。今日は目標、次は一歩。指摘は一球につき一つです。
腕の振りを直しても、相手の横へ飛んでいきます。
パパコーチ先に足と目標です。短い距離へ戻し、相手の胸へ一歩踏み出すことだけ合わせましょう。

小学生のボールの握り方は2本指を強制しない
基本は、ボールの上を人差し指と中指で支え、下に親指を置きます。ただし手が小さい子は、人差し指・中指・薬指の3本で支えても構いません。指先を白くするほど握り込まず、自然に持てることを優先します。

親子でできる10分キャッチボール
長く続けるより、短く区切って成功した一球で終える方が、次の「やりたい」につながります。時間は目安なので、できる段階だけ繰り返して構いません。2分たったからと、難しい練習へ進ませる必要はありません。

- 0〜2分:やわらかい球を下から投げ合う
- 2〜4分:近い距離で胸へ投げる
- 4〜6分:ワンバウンドを正面で止める
- 6〜8分:左右一歩の球へ動く
- 8〜10分:捕る、見る、一歩、投げるをつなげる
チーム全体での練習を組む場合は、少年野球の低学年向け90分練習メニューで、遊び・キャッチボール・守備・打撃までの流れを整理しています。
野球のゴロとフライは別々に教える
ゴロの捕り方|最初は「止められた」で合格
大人が手でゆっくり転がし、子どもはボールの前へ動きます。最初から捕球姿勢の完成を求めず、後ろへそらさず止められたら成功。慣れたら左右へ一歩、最後に近い目標への送球を足します。
フライの捕り方|セルフトスと低い手投げから
フライを怖がる小学生に、いきなり高いノックは必要ありません。やわらかい球を自分で上げる、親が低い山なりを投げる、落ちる場所へ一歩入る。高さと距離は別々に上げます。
ゴロは止められるのに、フライになると後ろへ逃げます。
パパコーチ別の難しさです。やわらかい球の短いトスで、落ちる場所へ入る練習から分けましょう。

NPBの小学校向け教材も、フライは相手が構えた所へ投げ、恐怖心を与えないよう距離や高さを少しずつ上げる考え方を示しています。太陽方向、障害物の近く、ほかの組と交差する場所は避けてください。
送球がそれる時は「暴投」と責めず、準備を確認する
野手の送球がそれた時に「暴投」と言うことがありますが、記録上の暴投は投手が打者へ投げた投球に使う言葉です。野手のプレーなら「悪送球」「送球がそれる」と考えると分かりやすいです。

- 目標を見る前に投げていないか
- 低い捕球姿勢のまま、無理に投げていないか
- 届かせるために力む距離になっていないか
- 相手が捕れる位置より球の強さを優先していないか
原因を「肘が下がるから」と一つに決めつけないでください。距離、力み、足の向き、握り替え、疲れなどが重なります。まず距離を戻し、直す点を一つに絞ります。
キャッチボールから守備位置とカバーリングへ
キャッチボールが続くようになったら、「捕る・投げる」に「次の場所へ動く」を加えます。自分の所へ飛んでこなかった時こそ、守備の勉強が始まります。
自分の所へ飛んでこないと、その場で立ったままになります。
パパコーチボールを捕る人以外にも仕事があります。ベースや中継へ入る、後ろへ回る。この二つから探します。

内野と外野の違いは、よく来る打球と距離
一塁手・二塁手・三塁手・遊撃手の4人が内野、左翼手・中堅手・右翼手の3人が外野です。左・右はホームから外野を見た向きで、内野はゴロや塁付近の短いプレー、外野は広い範囲のフライや長い返球が多くなります。どちらも「捕る・投げる・カバーする」が共通なので、名前と実際の立ち位置を一緒に覚えます。
守備番号は1〜9。背番号とは別
守備番号は、1投手、2捕手、3一塁、4二塁、5三塁、6遊撃、7左翼、8中堅、9右翼です。背番号でも打順でもなく、スコアで守備位置を表す番号。覚え方や6-4-3の意味は、野球の守備番号1〜9とは?で図解しています。
カバーの場所は、走者、アウト数、打球、チーム方針で変わります。初心者は近い距離でやわらかい球を使い、3人で「投げる人・受ける人・受け手の後ろで止める人」を一球ごとに交代します。後ろへ回る人は送球路の途中に立たず、受け手を越えた球を止められる位置で待つと、全員が同じ球を追わずに役割を覚えられます。
親がやらない方がよい6つの教え方
- 怖がる子へ速い球を投げ続ける
- 捕れないまま距離だけ伸ばす
- 一球ごとに複数のフォームを直す
- 兄弟やチームメイトと比べる
- 「怖がるな」で気持ちを片づける
- 肩・肘・手が痛いのに続けさせる
練習場所では、一組一方向に投げ、横切って球を拾わないよう待つ場所を決めます。相手が構え、間に人がいないことを確認してから投げてください。頭や目へ当たった時、見え方の異常、強い痛み、吐き気、意識や行動の変化がある時は練習を止め、速やかに大人が状態を確認し、必要に応じて医療機関へ相談します。
よくある質問
何メートル離れて始めればよいですか?
年齢だけで決めず、顔を背けず両手を出せる距離から始めます。1〜2歩でも十分です。成功が続いたら、子どもと相談して少しだけ離れます。
最初からグローブは必要ですか?
必須ではありません。丸めた靴下やスポンジボールを素手で捕る所から始められます。硬い球へ進む時は、手に合い開閉しやすいグローブを使います。
毎日キャッチボールをした方が上達しますか?
毎日を義務にする必要はありません。短時間でも、痛みがなく、相手が捕れる球を意識して終えられる方が大切です。肩や肘に痛みが出たら中止してください。
フライだけ怖がる時はどうしますか?
キャッチボールとは分け、やわらかい球のセルフトスへ戻します。次に大人の低い手投げ。高い球、硬い球、長い距離を同時に加えません。
左利きは反対向きで教えればよいですか?
投げる手と反対側の足を目標へ出す考え方は左右で入れ替えられます。大人の右投げフォームをそのまま鏡写しに押しつけず、自然に動けるかを見ます。
参考にした公式・専門資料
- NPB「幼児の楽しいボールあそび活動」
- NPB「みんなが輝く やさしいベースボール型授業」
- 全日本軟式野球連盟「Baseball5学校導入マニュアル」
- 全日本野球協会 Homebase「草野大輔氏による守備講座」
- NPB「スコアリングガイド」
まとめ|直すのは一つ、終わりはできた一球で
一球ごとに、投げ方も捕り方も全部直したくなります。
パパコーチ直すのは一つ。終わりはできた一球で。明日もやりたくなる方が勝ちです。
今日、投げ方も捕り方もゴロもフライも、全部完成させる必要はありません。
怖くない球を一つ捕る。相手が捕れる所へ一つ投げる。そこから一歩動く。
キャッチボールは距離を競う練習ではなく、相手とボールをつなぐ練習です。その土台が、ゴロ、フライ、送球、守備位置、カバーリングへつながります。


