「ボール、ピッチャーへ返したよね?」。一塁走者がベースから半歩離れた、その瞬間。横から伸びたグラブに、タッチされました。
ベンチは「えっ?」。守備側はニヤリ。
隠し球は、打球が飛んでいない時間にも野球が続いていると教えてくれます。
いや、油断した瞬間まで野球なんです。
ただし2026年、ここに大事な線が一本引かれました。
隠し球って、全部反則になったんですか?
パパコーチいいえ。野手が手やグラブでボールを持つ通常の隠し球と、ポケットなどへ意図的に隠す行為は別です。
結論|普通の隠し球は残る。ポケットに隠してだますのは反則

2026年度の野球規則改正では、公認野球規則5.06(c)(7)原注に、野手が走者をだます目的で意図的にボールをユニフォームの中(ズボンのポケットなど)へ隠した場合の処置が追加されました。審判員はタイムを宣告し、すべての走者に、その行為の瞬間に占有していたと判断した塁から少なくとも一つの塁を与えます。
つまり「隠し球が全面禁止」ではありません。ポケットへしまう、ユニフォームの中へ押し込む。そこまでして走者をだます行為が、新しい処置の対象です。たまたま用具に挟まったケースとも分けてください。
隠し球が成立するかは「4つの順番」で見る
| 確認 | 見るポイント |
|---|---|
| 1. タイム中か | タイム中のタッチでは通常アウトにならない |
| 2. 誰が持っているか | 手・グラブで正しく保持しているか、ユニフォーム内へ隠していないか |
| 3. 投手はどこにいるか | ボールを持たず投手板につく、またぐ、投球のまねをしていないか |
| 4. 走者へ正しく触れたか | インプレイ中に、ボールまたはボールを持つ手・グラブでタッチしたか |
この順番なら、塁上で急にタッチが起きても慌てにくいです。「隠していたからアウト」「投手板を踏んだから全部ボーク」と、一部分だけで決めないこと。野球のルール、たまに一行だけ覚えると余計に迷います(笑)。
タイム後は、ボールを持つ投手が正しく位置し、球審がプレイを宣告して再開するのが基本です。止まったと思っただけなのか、本当に止まっていたのか。タイムを要求しただけでは試合が止まらない理由も一緒に読むとつながります。
隠し球とボーク|投手板の近くでも油断できない
走者がいるとき、ボールを持たない投手が投手板につく、またぐ、投手板を離れて投球のまねをすれば、ボークの問題になります。さらに全日本軟式野球連盟系の大会では、ボールを持たない投手が投手板のすぐそばでサインを見るような動作をした場合も、投手板についているものとして扱う運用があります。
ただし大会・年度で運用は異なります。昔の資料やSNSの短い動画だけを根拠にせず、その日の大会要項と審判員の指示を優先してください。
走者へ教えたいのは「ずっと疑え」ではなく「確認する習慣」
- ボールが誰の手にあるかを見る。
- タイムを要求したら、審判が認めたか確認する。
- 塁上で装具を直す前に、プレイが止まったか確かめる。
- ベースコーチも走者だけでなく、ボールの行方を見る。
隠し球でアウトになった子へ「何やってるんだ!」。
それだけでは、次に見る場所が残りません。
「返球を確認した?」「タイムはかかっていた?」
一つずつ戻れば、悔しいアウトも立派な教材です。
捕ったと思って走塁を止める場面も似ています。捕球成立とボールを落とした場合のルールも、「自分の予想」と「審判が確認した事実」を分ける練習になります。
少年野球で隠し球を教えるなら、作戦より先にルールを
隠し球は面白い作戦です。でも初心者の子へ最初に教えたいのは、相手をだます演技ではなく、ボールの所在、タイム、投手の位置、正しいタッチ。そこが分かってからなら、あの静かな塁上の時間も立派な野球だと見えてきます。
※ルール確認日:2026年8月29日。実際の試合では、所属連盟の競技者必携・大会要項と審判員の指示を確認してください。図は説明用のイメージです。

