「ボール、ピッチャーに返したよね?」。そう思って塁から足を離した瞬間、横からタッチ。野球には、打球が飛んでいない時間にも気が抜けない場面があります。
そこで「隠し球は禁止になったんじゃないの?」という話。2026年のルール改正で区別したいのは、野手が手やグラブに保持している場合と、だます目的でポケットなどへ隠す場合です。同じ「隠す」でも、扱いは同じではありません。
2026年の変更|ボールをポケットに隠して走者をだますのは反則

公認野球規則5.06(c)(7)原注に追記された内容では、この行為があったときは審判がタイムを宣告し、全走者に少なくとも一つの塁を与えます。基準は、その行為の瞬間に占有していたと審判が判断した塁です。2026年度野球規則改正の公表資料で確認できます。
「たまたま挟まったボール」と「だます目的で自分から隠したボール」も、同じ説明にまとめないこと。ここでは後者を扱います。
普通の隠し球が成立するには、ボールが生きていること
| 場面 | 考え方 |
|---|---|
| 野手が手・グラブにボールを保持している | それだけで反則とは限らない。インプレイや投手の動作などを確認 |
| だます目的でポケット・ユニフォーム内へ隠す | 2026年の追記対象。タイムと走者への塁の付与 |
| タイム中に塁を離れた走者へタッチする | 通常の隠し球によるアウトにはならない |
| 投手がボールを持たず投手板につく等 | 走者がいればボークの問題になる |
通常の隠し球は、インプレイ中、ボールを保持した野手が、塁を離れた走者に正しくタッチするのが基本です。投手側に反則がないことや、所属団体・大会の規定も確認する必要があります。「グラブなら何をしてもOK」ではありません。
タイムを取ってから隠しておけば、簡単にできそうですが……。
パパコーチタイム中は、そのタッチで走者をアウトにはできません。再開にも条件があるので、そこを飛ばす作戦は成立しないですね。
タイム後は、ボールを持つ投手が正しく投手板に位置し、球審がプレイを宣告して再開するのが基本です。止まったままなのか、再開したのか。タイム要求と正式な宣告の違いを先に理解すると、ここがつながります。
隠し球とボーク|「投手板さえ踏まなければいい」でもない
走者がいるとき、ボールを持たない投手が投手板につく、またぐ、投手板を離れて投球のまねをする行為は、ボークの対象です。投手の足だけ見て「踏んでないから大丈夫」と結論を急がないこと。
さらに、全軟連の特別規則を掲載した朝霞市野球連盟の公開資料「かくし球について」には、ボールを持たない投手が投手板のすぐそばでサインを見るような動作をした場合の扱いも示されています。投手板についているものとみなし、隠し球は無効でボークとする内容です。公開資料は年度が異なる場合があるため、現在の競技者必携と所属大会の運用も確認してください。
「マウンドの土を一歩でも踏んだら全部ボーク」と覚えるのも雑です。どこに立ち、何をしていたのか。子どもへ教える前に、大人も短い動画一本の記憶を点検したいところです。
走者に教えたいのは、相手を疑い続けることではない
- ボールを誰が持っているか、自分でも確認する。
- 止まったと思い込まず、インプレイかタイム中かを確認する。
- 塁上で装具を直したいときはタイムを要求し、認められたか確認する。
- ベースコーチもボールと走者を見て、状況を伝える。
隠し球でアウトになった子へ「何やってるんだ!」。それだけでは、次に何を見ればよいのか残りません。「返球を確認した?」「タイムはかかっていた?」と、一つずつ戻ってみる。知らなかったなら、今日が覚える日です。
捕ったと思って走塁を止める場面にも似ています。フライの捕球成立と走者の判断も、「自分の予想」と「実際に起きたこと」を分ける練習になります。
よくある疑問|少年野球で隠し球を教えてもいい?
作戦として認められる範囲は所属団体・大会に確認します。そのうえで、初心者なら「だます技」より、ボールの所在、タイム、正しいタッチを先に教えたい、と僕は考えます。相手を笑うためのプレーにはしたくありません。
上手くいった、引っかかった。それで終わらず、なぜ成立したのか、何なら反則なのかを話す。ルールを知ると、あの静かな塁上の時間も、ちゃんと野球なんだと分かってきます。
※ルールの確認日:2026年8月28日。実際の試合では、所属連盟の規定・大会要項と審判員の指示を確認してください。図は動作を説明するイメージです。
